母の退院、父の異変
術後の経過は良好で、翌日から歩いてトイレに行ったそうです。結局、入院は10日間となりましたが、80歳と言う高齢であることを考えると、上出来でしょう。その間、毎日見舞いに行っていた父の献身ぶりにも頭が下がります。
そんな父の異変に最初気付いたのは、母の体力も回復し親戚一同で集まった会食の席でのこと。この席には1歳になる兄の孫、つまり母のひ孫も一同に会し、賑やかな宴席となりました。
地元で多少名の通った中華料理に舌鼓をうち、デザートの杏仁豆腐も食べ終わり、そろそろ出ようとした所、父が、
「デザートまだなの?」
と、真顔で聞いてきたのです。その時は母が
「さっき食べたじゃない。何バカなこと言ってるの。」
と、たしなめてその場は収まりました。
今思うと、あの時から父の異変は始まっていたのです。